2020-08-30

イスラムはどんな宗教?

イスラムとイスラームはどちらが正しい?イスラムの教えとは?世界人口は?イスラムはどんな宗教?
そんな「イスラムの基本」をお伝えします。

イスラム・イスラーム・イスラム教・ムスリムとは?

イスラームはアラビア語で「神にすべてをゆだねる」という意味です。

日本で「イスラム」と言われるのは、この知識がヨーロッパ経由で日本に伝わったためです。英語の「Islam」のつづりから「イスラム」となりました。

アラビア語ではaが長母音のため、イスラームと発音します。

「イスラム教」については、「イスラム」という言葉自体が宗教そのものを意味するため、「教」をつけないのが厳密には正しいとされます。

ただ「イスラム」でも「イスラム教」でも間違いではありません。

ムスリム」とはイスラム教徒のことです。

イスラムの教えとは?

イスラムの教えとは「アッラーのほかに神はなく、ムハンマドはアッラーの使徒である」。これを信じることです。

アッラーのほかに神はなく」:唯一神アッラーだけを信仰すること。多神教は重大な罪です。

ムハンマドはアッラーの使徒である」:ムハンマドはアッラーの僕・預言者であり、かれの伝える言葉は信頼されるべきだということ。

イスラムのはじまり

西暦610年頃、アラビア半島のマッカ(メッカ)に住んでいた商人ムハンマド(570~632年)が、神の言葉を聞いたのがはじまりです。

当時のマッカの人々は多神教を信じ、享楽的な生活を送っていました。そこにムハンマドが「唯一の神アッラーにしたがい、富の独占を認めない」と説いたため、マッカの有力者から厳しく弾圧されました。

そこでムハンマドたちはマッカ北部の都市マディーナへ逃れ、ここで信徒を増やします。そして630年に1万人の兵をひきいて無血のうちにマッカを征服。多神教の神殿だったカアバをイスラムの神殿としました。

これをきっかけにイスラムはアラビア半島全域に広まり、さらにムハンマドの死後、世界各地に伝わることになります。

世界のムスリム人口

世界人口は約78億人で、そのうちムスリムは約18億人です。世界人口の20~25%を占めています。

ムスリムの人口増加率は高く、2070年にはキリスト教とイスラムの人口は同じくらいになり、22世紀にはイスラムが世界第一位の宗教になると予測されています(アメリカの調査機関「ピュー・リサーチ・センター」)。

ムスリム人口が多いのは東南アジアや南アジアで、最も多いのはインドネシアで2億3千万人、パキスタンとインドは約1億9千万人です。(2018年時点)

イスラムはどんな宗教?

厳格な一神教

ユダヤ教、キリスト教とともに、「唯一神がすべてのものをお創りになった」と信じる一神教です。

信じる神は3つとも同じです。エジプトのコプト教徒も、彼らの神をアッラーと呼びます。

最初にできたのがユダヤ教、次がキリスト教、次がイスラムです。イスラムは一神教が徹底しており、コーランの中でしばしば多神教を厳しく非難しています。

契約思想

イスラムでは契約を重視します。これは預言者ムハンマドが、当時の国際的な商業都市マッカの商人だったことと関係があると言われています。

信仰は神アッラーと信徒の「契約」と見なします。信徒にとっては「現世でアッラーとの契約を守りますから、来世では天国に入れてください」というわけです。

具体的な契約内容はvなどに記され、信者の基本的な義務は「六信五行」を守ることです。

生活宗教

宗教的なことに加え、社会的規範、道徳、思考様式、発想なども含むのがイスラムの大きな特色です。つまりイスラムは私たちが考える「宗教」とは全く異なるものです。

信者は六信五行など宗教で定められた生活ルールを実践することで天国へ、そうでなければ地獄へ行くことになります。

(詳細:生活宗教・聖と俗を分けない<イスラムの特色>

柔軟な宗教

ルールを守らなければ即地獄行きかというと、そうではなく、悪いことを補うだけの良い行いをすれば天国へ行けることになっています。

ルールには除外規定も多く、ラマダン月の断食などは、高齢者、10歳以下の子供、病人、妊婦、授乳中の母親、兵士、旅行者はやらなくていいことになっています。

豚肉は禁じられていますが、他に食べるものがなく、それを食べないと餓死してしまうような場合、食べることが許されます。

こうした意味でかなり柔軟な教えと言えます。

(詳細:イスラムのルールは厳しい?その教えは柔軟で人にやさしく合理的

平等主義

全ての人は平等であるというのがイスラムの基本理念です。人は人種や民族の違いを超えて平等だとされています。男女も平等です。

人の上下を分けるものがあるとしたら、それは信仰心だけです。

(詳細:平等主義・ 聖職者がいない<イスラムの特色>

人は弱いもの・弱者救済

全能の神アッラーに対し、人間の力はあまりにも小さい。そして弱いもの同士、助け合って生きようというのがイスラムの基本姿勢です。

貧しい人、病人、高齢者などには無条件に手を差し伸べることが信者の義務とされています。

(詳細:「人は弱い」という根本思想と弱者の救済<イスラムの特色>

 

禁欲主義の否定

キリスト教は禁欲を推奨し、食や金儲け・性的なものを控えるのがよしとされますが、イスラムでは禁欲を推奨していません。

人間を欲望をもつ存在と認め、食欲、金銭欲、性欲を肯定し、一定の条件のもとで快楽を追求することを奨励しています。

独身主義も奨励しないため、俗世を捨てて人里離れて長期に行う修行・修道院制度も認めていません。

(詳細:婚前交渉を禁止するイスラムは禁欲的な宗教?

 

集団主義と個人主義

イスラム教では、信仰はアッラーと個人の契約という考えに立ち、それぞれが神と直接に相対します。

ルールを守る度合いも人それぞれで、他人の信仰についてとやかく言ってはならないことになっています。

一方で「信者たちはみな兄弟」という信徒間の愛を説き、ムスリムたちは一つの共同体だという自覚を持っています。

基本的な義務である六信五行礼拝ラマダン巡礼など)などは、すべて信徒間の一体感を高める要素を持っています。

(詳細:個人主義と個人主義のバランス<イスラムの特色>

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