「美味しい料理は家で、雰囲気はレストランで」
これがイランの食事の基本です。
雰囲気のいいレストランで食べたらガッカリ、はイランではよくあること。
イラン人にとってレストランは雰囲気を楽しむ場所。味は二の次です。
でも家庭の味はとてもレベルが高い!
イランの家庭料理について詳しく紹介します。
目次
イラン料理の基本
イランの料理の基本は「煮込み」です。日本でいう「肉じゃが」みたいなものです。
そしてやや「煮込みすぎ」がイラン料理の特徴といえましょう。
そのため料理に非常に時間がかかります。
これは極端な例かもしれませんが、私の友人は朝仕事に出かける前に鍋を火にかけ、午後帰るまでそのまま、ということがありました。
地震が少なく、資源大国だからこそ可能なのでしょう。
料理を大皿にどーんと山盛りにして出すのがイラン流です。
盛り付けの美しさは非常に大事です。ごはんの上によく「ゼレシュク」という赤い実をのせて飾り付けします(上の写真)。
イランの代表的な家庭料理
イランの家庭では、ふだんどんなものを食べているのでしょう?
代表的なものをご紹介します。
おこげ
イラン人が食事で最も情熱を注ぐのが「おこげ」です。ご飯にもパスタにも必ず作る。鍋の底にポテトや薄いパンを敷きます。絶品はなんといってもポテトのおこげです。 pic.twitter.com/PTKEHjjOqW
— 常見藤代 @イスラム・エスノグラファー (@fujiyotsunemi) June 6, 2019
イラン人が食事で最も情熱を注ぐのが「おこげ」です。ご飯にもパスタにも必ず作る。
鍋の底にポテトや薄いパンを敷きます。絶品はなんといってもポテトのおこげです。
イランの食事でおこげはとても重要です。
最もおいしい部分として別皿に盛られ、お客に真っ先に振舞われます。
おこげが上手にできなければ、米がうまく炊き上がったことになりません。
おこげは米はもちろん、「ラヴァーシュ」という薄いパンを鍋の底にしいて作ったりもします。
おこげの作り方です↓
ごはん
イランでは白いご飯を「チェロウ」、具を入れて炊き込んだものを「ポロウ」と言います。
ご飯の炊き方は、日本とだいぶ違います。
米をいったん茹で、芯が残る程度で火を止めて水分をきり、再度鍋に移してじっくり炊き込みます。
チェロウは、煮込みなどの料理の主食として食べますが、ポロウは「おかず」のような感覚で食べます。
そのためポロウはパンなどと一緒に食べるのですが、驚くことにイラン人はポロウをパンに挟んで食べたりします。
日本で食パンにチャーハンをはさんで食べているようなものですね☺️。
アーブグーシュト
羊肉とヒヨコ豆、ジャガイモをトマト味で煮込んだ料理です。
イランの家庭で最もよく食べられている料理です。
普通の鍋で長時間煮込むこともあれば、圧力鍋を使って短時間に作ることもあります。
外食でもアーブグーシュトは人気で、一番の庶民料理です。
こちらが、アーブグーシュトの作り方です。
ゴルメ・サブジ
ほうれん草やハーブを羊肉や豆と煮込んだ料理です。乾燥レモンを入れることもあります。
ホテシュテ・ゲイメ
肉とレンズ豆の煮込みで、これも日常的によく食べられています。
「ホテシュテ」とは煮込みのこと。
何を煮込むかで名前がついています。
「ホテシュテ・バーテンジャーン(ナス)」といった具合に、ホテシュテの後に主たる食材名を付け足します。
「ホテシュテ・ゲイメ」は最もポピュラーなホレシュテです。
アーシュ・レシュテ
「アーシュ」はスープです。
アーシュ・レシュテは、ソバのような麺を小さくして入れ、豆と野菜で煮込むスープです。
野菜サラダ
メインの料理には、たいていつけ合わせの野菜サラダがついています。
ドレッシングをかけることもあれば、そのまま食べることも。
ゆでたジャガイモをマヨネーズであえたポテトサラダのようなものもあります。
イランでは野菜は生か長時間煮込んで食べるもの。
日本のようにさっと茹でておひたしにしたり、といった食べ方はしません。
素材の味をいかす、栄養分が逃げないように短時間で料理する、みたいな日本的考え方はないようです。
ビタミンが足りてるのかな?とちょっと心配になりますが。
ケバブorバーベキュー
イランの家庭では炭火で焼きます。
一戸建ての場合、庭にたいていバーベキュー用の炉のようなものがあります。
マンション住まいで庭がない場合、しばしば郊外の庭付きの家に住む親戚の家に集まってバーベキューします。
スパゲッティ
洋食料理もイラン料理の中に取り入れられて家庭の味となっています。
特に親しまれているのがスパゲッティ。
イランでは「マーカーロニー」と呼ぶびます。
調理もイラン流で、私たちのスパゲッティよりもさらに煮込んでもっちもちになっています。
ヨーグルト&乳製品
イランをはじめ中東でよく食べられているのがサルシール(乳脂)です。
沸騰したミルクの冷めた時に表面にできるもの。
これとハチミツを一緒にパンにつけて食べると、なんともいえない美味しさです。
女ひとり20日間、イランの家庭を泊まり歩いた“出会い”と“食”の旅行記。イラン人のリアルな暮らしぶりを知ることができるとともに、数々のイラン家庭料理のレシピが掲載されています。