聖地マシュハド近郊の「カング村 Kang village」を訪れました。
マシュハドから30kmの山奥にある小さな村。
写真のように、山の斜面を利用して階段状に家が建てられています。
カング村の場所↓
カング村はどんな場所?
村は3千年くらい前にできたとのこと。
今残っている家で一番古いものは、築150年ほどだそうです。
家の屋根が上の家の庭
村の家々は「1つの家の屋上が、その上の家の庭か、通り道」という面白い造りです。
このような形式は「マースレー(ギーラーン州)」村が有名です。カング村は「ホラサン州のマースレー」と呼ばれているそうです。
村民は150人
村の人口は150人ほど。ほとんどがお年寄りです。
以前この村に住んでいた人の多くは、マシュハドなどに移り住みました。
村の家をそのまま残し、夏だけ戻って畑を耕したり果物を収穫する人も多いそうです。
観光客がいない静けさ
マースレーほど有名でないため、村では観光客の姿をほとんど見かけません。
土産物屋はなく、村の入り口に1、2の軒商店があるのみ。
廃墟になっている家も多く、村の中は恐ろしいほどシーンと静まりかえっています。
そんな中を歩いていると、突然上から老人が歩いてきたりして、ドキッとさせられたり、一見廃墟に見える家の中から、人の話し声が聞こえてきたりします。
村の道は急な坂なので、荷物を運んだりするのはロバに頼っています。
夫婦2人の家
ある夫婦の家に招かれました。
村を歩いているうちにお腹がすいたため、たまたま通りかかった男性に「この村にパン屋はありますか?」ときくと、「うちに寄ってごはん食ってけ」と、無理やりに家の中に連れて行かれたのでした。
優しそうな奥さんが出てきて、まずお茶を出してくれて。
私が飲んでいる間に、目の前にお皿とコップ、ナイフとフォークのセットを並べていきます。
やがて大きなパンとお皿にたっぷりのごはん!が。
中にチキンが入っていました。
油で揚げたチキンをごはんに入れて、いっしょに炊いたもの。「イラン風チキンビリヤニ」とでもいうべきものです。
最初は「絶対ぜんぶは食べられない!」と思ったのですが、これがおいしくておいしくて・・・・。
あっという間に全て平らげてしまいました。
ごはんは日本の米よりパサパサ気味でしたが、甘くて弾力がありました。
その後、奥さんと片言のペルシャ語で少し話をしました。
彼女はゴルガンという町の出身。この村の聖者廟を訪ねた時、たまたまご主人と知り合ったそうです。
年は40代。両親は亡くなり、兄弟もいないそうです。
夫婦には子供もいない。欲しかったので病院に行ったけれど、原因はわからなかったそう。
「これも神の思し召し」みたいなことを奥さんは何度もつぶやいていました。
話の内容はそれほど明るくないのですが、なぜか奥さんの顔は清々しくすっきりしていて、救われました。
人生にはどうにもならないことがたくさんある。
そういう時、イスラム教徒の人たちは、こうやって自分を納得させるんですよね。
Kang村への行き方
1. 市内を走る地下鉄の終点「バキル・アバッド Vakil Abad」駅で降りる。
2. 目の前のバスターミナルで「トルガベTorghabeh」行きのバスに乗る。(約30分)
(ここからカング村行きのバスもあることはあるものの、本数が非常に限られいる)
3. トルガベでタクシーをチャーターし、カング村へ(約40分)
タクシー料金は20万リアル
マシュハドにいらしたら、ぜひ足を伸ばしてみてください。
旅の参考になったら嬉しいです。
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