2017-02-23

『ブタとおっちゃん』*まさしく最高の写真集!

写真の魅力とは「被写体」の魅力。写真集「ブタとおっちゃん」を見ていると、そんなことをつくづく感じます。

この本の魅力を徹底的に語ります!

すべてモノクロ

ブタとおっちゃん

ブタがこんなふうに寝るなんて、、、、

写真集「ブタとおっちゃん」は、香川県の小さな町で養豚場を営むおっちゃんと1200頭のブタの日々の記録です。

すべてモノクロ写真。写っているのは、おっちゃんとブタだけ。だからとてつもなく地味な一方、しみじみとした味わいがあります。

おっちゃんとブタとの家族のような交わりは、まさに「ほのぼの」というつきなみな言葉以外、浮かびません。

ブタとおっちゃん

ブタが何か語り出しそう、、、、

技術より大切なもの

撮ったのは、山地としてるさんという市役所の職員です。プロの写真家ではありません。だから失礼な言い方ですが写真の技術という意味では、高くはないのかもしれない。

しかし被写体の魅力と、ブタとおっちゃんに向ける温かいまなざしが写真1枚1枚からほとばしり、技術うんぬんなど、どうでもよくなってしまう。

おっちゃんのように魅力的な人物も、なかなかいないでしょう。

ブタとおっちゃん

おっちゃんがビールを飲む写真は何枚かあり、色々な銘柄のビールを飲んでいる。それも面白い。

こういう被写体に出会えるというのは、写真を撮る者の幸福だと思います。

「ブタとおっちゃんとの幸せそうな姿に、気づけば10年間シャッターを切り続けていた」と山地さんは、あとがきに書いている。そんな撮る側の「思い」がたくさん詰まった写真、それこそが良い写真なんでしょう。

経済効率とは真逆な養豚

ブタとおっちゃん

本来、赤ちゃんブタは、生まれて30日後に親から引き離すのが効率的だそうです。しかしおっちゃんは40日まで親ブタのところに置いておく。その方が子豚が安心するからだそうです。

高度経済成長のもとで宅地開発が進む中、養豚場の移転を余儀なくされたおっちゃん。その後、海と山に囲まれた小さな町で再スタートを切りました。

ブタとおっちゃん

おっちゃん、幸せだろうなあ。愛ブタたちに囲まれて。

残念ながら、おっちゃんは体調をくずし、養豚場は閉鎖してしまいました。ブタたちは、もういません。

でも、この本の中でいつまでも生き続けています。

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コメント2件

  • 小柳徹 より:

    ドキュメント番組で見ました。「限られた命だから」豚たちと向き合っていたのに悲しいです。

  • 常見藤代 より:

    コメントありがとうございます。
    ドキュメント番組でやっていたのですね!
    もし知っていたら、私もその番組見たかったです。

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