「パンプキン」モロッコ・イスラムの美を求めて

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しぶい、いぶし銀のよう―モロッコのイスラム建築を表現するとしたら、そうなるだろうか。多くのイスラム諸国の中でも、その美しさは群を抜いている。とりわけ壁面を彩るタイル装飾には目をひく。このゼッリージュというモザイクタイルの技法は、モロッコ独自のもの。メディナに無数にもうけられた泉は、必ずこのタイル装飾で装飾されている。水が、この乾いた地に生きる人びとに身体的にばかりか精神的にも潤いを与え続けてきた証である。788年に最初のイスラム王朝がこの国に起こって以降、現在に至るまで、いくつかのイスラム王朝が続いた。その間王朝によってはスペインを征服し、この国の宗教建築はアンダルシア地方の影響を色濃く受けている。とりわけマリーン朝時代(1269~1465年)の建築は最も美しい。フェズやマラケシュなどの代表的なモスクやマドラサは、この時代のものだ。
 1666年から現在まで続くアラウィ朝の第23代目国王が現国王である。預言者ムハンマドの子孫としてのカリスマ性を主張し、広汎な権力を持つ。このような政治的背景が、今年に入って中東・北アフリカ全体へと広がった一連の反体制・民主化の動きがモロッコにも飛び火する下地となった。しかし宗教が暮らしの根底に根付いた人びとの心優しい人柄や穏やかな生活は、そう簡単に変わるものではないだろう。

 

 

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