BOOK of FUJIYO TSUNEMI PHOTOGRAPHER

大地に根を下ろしてくらす、失われつつある暮らし

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「砂漠のサイーダさん」
(月刊「たくさんのふしぎ」2009年5月号)

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福音館書店

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English

 エジプトの砂漠でたった一人で暮らす遊牧民のおばあさん・サイーダさん。私は2003年からサイーダさんと暮らし、一緒に砂漠を旅しながら、取材してきました。
 砂漠の砂でパンを焼き、泉で水をくみ、燃料は枯木や動物の糞、夜は月明かりでパンを焼くーそんな大地に根ざした自然と密接に関わりながら暮らす生活をご紹介します

ほか、本の内容については、こちらを参考にどうぞ。
http://www.hirano-masahiko.com/tanbou/943.html
http://blog.gogosahara.com/?eid=825655#comments
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サイーダさんの暮らしが訴えるもの

シンプルな豊かさ

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「荷物は少ない方がいいよ。いつでも好きなときに好きな場所に行けるから」とサイーダさんはいいます。いつも移動しているサイーダさんの荷物は、ラクダ2頭に積みきるだけ。荷物をまとめるまでに1時間も
かかりません。

砂漠に流れるゆるやかな時間

サイーダ・木の下で.jpg砂漠に時計はありません。朝日が上る前に起き、ゆっくり朝食をすませ、放牧に出かけます。
日が高くなってきたら、木の下に荷物を下ろしてやすむ。
涼しくなったら、また出発。太陽の移動とともに生活サイクルが決まります。
時間においたてられない砂漠では、何でもゆっくりていねいにやります。パンを焼いて食べるにも、まず枯木を集め、風よけの石で炉をつくり・・・。火をおこしたら、その間に小麦粉をこねます。こねるのに30分、パンを焼くのに30分。「時間をかけるから、おいしいパンができる」とサイーダさんはいいます。



人間らしい生き方って?

サイーダ(7).jpgサイーダさん以外の遊牧民たちは、もうほとんどが遊牧生活をやめて、定住地で観光客相手の仕事をしています。ここ何年も雨が降らず、草が育たなくなり、遊牧が難しくなってしまったからです。定住地で遊牧民たちは、毎日観光客をラクダに乗せたりして働いています。
 しかしサイーダさんは、砂漠の暮らしを離れるつもりはありません。
「砂漠なら、どこに行ってなにをしてもいい。ひとつの場所にあきたら、別のところに移動する。いつも動いている暮らしは、楽しいよ。好きなときに休んで、好きなときに昼寝する。きれいな空気の中をいつも自由に歩き回っているから、心も体も元気そのものさ」

本当の幸せとは

Saieda①.jpg朝がきたらラクダと出かけ、疲れたら休み、枯れ木を集め、パンを焼く・・・サイーダさんの暮らしは、毎日が単調のようです。
しかしその中にも喜びがあります。
毎日好きなときに好きな場所に移動すること。ゆっくりと青い空と雲を眺める時間があること。好きなだけ、草や砂や風のにおいをかぐこと
今日も明日も、サイーダさんの暮らす砂漠には、ゆったりとした時間が流れていきます。