2020-08-30

イスラムと飲酒*禁止の理由とアルコール消毒

イスラムでは酒を飲んではいけないことはよく知られていますが、それはなぜでしょう?調味料などにアルコールが入っている物はOK?アルコール消毒はダメ?お酒が飲めなくて、どうやってストレス発散している?

ーそんな疑問にわかりやすくお答えします。

なぜイスラムでは飲酒が禁止なのか?

イスラムで飲酒が禁じられている理由は、聖典コーランで禁止されているからです。

しかし最初は禁止されていませんでした。

お前達はナツメヤシや葡萄の実から酒や食べ物を得ることができる。それはアッラーから分別ある人々へのお恵みである」(16:67)という章句があるくらいです。

しかし飲酒による色々な弊害が目立つようになり、神も次第に「お酒は役立つときもあるが、悪いことの方が多い」(2:219)と嫌悪感をお示しになるようになった。

そして酔っ払って礼拝の文言を間違う人がいて、「酒によっている時は、自分の言っていることがわかるようになるまで礼拝するな」(4:43)という啓示が下されました。

さらに信者同士が酔っぱらってけんかをし、ケガをさせるという事件があって、これを契機に酒がはっきりと禁止されたのです。(5:90節)

つまり段階的に禁止となりました。

酒そのものではなく、「飲むのが禁止」

注意すべきは「酒そのもの」を否定しているわけではなく、「飲むのが禁止」だということ。

天国では美酒が飲み放題」とコーランにあります。

「天国に行けばすごく美味しい酒が毎日飲める。だから束の間の現世ではガマンね」ということでしょう。(←:イスラムの天国と地獄とは?<イスラム基礎知識>

飲んでしまったら?

酒は原則禁止ですが、目の前に酒しかなくて「飲まないと死ぬ」ような時は許されます。炎天下の砂漠を歩いていて熱中症になりそうだが、手元にビールしかない。そんな場合です。

またお酒を飲んでしまっても、後でしっかり礼拝したり、貧しい人に施しをしたりして挽回すればよいとされます。イスラム教はとても寛大で、「善行が悪行を上回れば、来世で天国へ行ける」と考えられているのです。

(参考:イスラム教のルールは厳しい?その教えは人にやさしく合理的。

イスラム圏では外国人も飲めない?

外国人も飲めないのは、サウジアラビア、クウェート、リビア、イランの4カ国だけで、他は外国人なら基本的に飲めます。

エジプト、チュニジア、モロッコ、ヨルダン、インドネシア、トルコなどでは町中に酒屋があり、ビールやワインを製造しています。

これらの国ではキリスト教徒も多く、お酒を出すレストランもあります。

エジプトでは目立たない場所にバーがあり、モロッコやチュニジアでは表通りに飲み屋があります。

バハレーン、カタール、アラブ首長国連邦、オマーンなどの湾岸諸国では、ライセンスを持つホテル内でお酒が飲めます。

とはいっても大っぴらに飲酒する文化はありません。酔って千鳥足で歩いたりするのは厳禁です。

アルコールが入った調味料は?

学者によって見解が違いますが、基本的にはダメです。

みりん、しょうゆ、味噌、酢などは保存のためにアルコールを添加している場合があり、これらは許可されません。

アルコール消毒は?

「アルコールを薬として使うことは禁止」とハディースにあります。

もしアルコールが含まれている薬をすすめられたら、それ以外の薬はないか聞いてください。なければ、使うのは許されます。

コロナ禍以来、アルコールを消毒目的で使うのを認めるイスラム団体が増えています。

清潔は信仰の半分」というイスラムの教えを根拠にすることが多いです。

タバコ・麻薬は禁止?

タバコはコーランやハディースができた時代になかったため、禁止かどうかは書かれていません。

ただ健康に害があることから、否定的な見方が強いです。

しかしイスラム圏ではタバコを吸う人がたくさんいて、特に水タバコは人気です。

麻薬については、コーランにおける「酒」は酩酊作用のある飲料を指すと解釈されるため、これが麻薬や各種のドラッグにも適用されます。

飲酒できなくてストレスがたまらない?

酒の代わりに男性はカフェで甘いチャイを飲みながらおしゃべりやゲームを楽しんでいます。そもそも生まれた時から酒を飲んだことがないので、「飲みたい」と思わないのが実情でしょう。

そもそもあまりストレスを感じる暮らしをしていないようなので、酒でストレスを発散する必要はないとも言えます。

仕事は午後2時くらいに終わり、家で昼食を食べて昼寝。起きたら起きたら行きつけのカフェへ行って気心の知れた友人知人とお喋りやゲームを楽しむ。そんな暮らしです。

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