イスラムの基本思想② 信者間の「平等」と「弱者救済」<イスラム基礎知識>

断食、礼拝などイスラムには様々なルールがありますが、それ以外の「イスラムの基本思想」については、あまり紹介されたことがなく、知らない人が多いのではないでしょうか?

信徒間の平等」と「弱者救済」というイスラムの根底にある基本思想をご説明します。

信者間の平等

他の宗教では聖職者や僧侶といった人がいますが、イスラムにそういう人はいません。信者は皆平等です。

「われらは一人の男と一人の女からあなた方を創り、さまざまな種族と部族に分けました。それはあなた方が、互いに知り合いになるためです。」(49章13節)

人は男女も民族の違いも超えて、平等に創られているという意味です。

イスラム社会には「イマーム」と呼ばれる人がいます。これはイスラムの知識に優れた人であったり、モスクでの集団礼拝の指揮をするだけの人であり、聖職者などとはちがいます。

人間だけでなく、命あるものは全て平等だと語られています。

「地上の生きとし生けるものも、双翼で飛ぶ鳥も、あなたがたのように共同体の同類でないものはない」(6章38節)

男女も平等です。

「男も女も分けへだてはしない。もともとお互い同士じゃ」(3章195節)

弱者救済

弱い人を助けろがイスラムの基本姿勢です。貧しい人や病人、老人など。旅人や女性も弱い人に入ります。

貧者

貧しい人に施しをすること(喜捨)は、コーランに定められたイスラム教徒の義務です。

「アッラーの道に専心し、(商売の目的で)大地を巡ることができない貧しい人たちのため(に施しなさい)」(「コーラン」2章73節)

「喜捨(きしゃ)の用途は、まず貧者に困窮者、それを徴収して廻る人、心を協調させた人、(途中略)、旅人、これだけに限る』(9章60節)

喜捨には義務の喜捨と任意の喜捨があります。

義務の喜捨は「ザカート」といい、1年間の収入のうち決まった割合をモスクなどに自己申告して払う。それが諸機関を通じて貧者に分配される。

もちろん家族が食べていくのがやっとという人に、この義務はありません。

任意の喜捨は「サダカ」といいます。

病人

病人はいたわるべきものとされ、信者の義務であるラマダン月の断食も免除されています。

「病気や旅路にある人は、別の日に(できなかった)日数を(斎戒)することができます。アッラーはあなた方に容易をのぞみ、困難を望みません。」(2章185節)

「苦行を強いない」のがイスラムの特徴です。

孤児

コーランでは、孤児をいたわるようしばしば書かれています。

これは預言者ムハンマドが孤児だったことも関係していると言われています。

「汝ら自分だけでは孤児に公正にしてやれそうもないと思ったら、誰か気に入った女をめとるがよい、二人なり、三人なり、四人なり。

だが、もし妻が多くては公平にできないようならば、一人だけにしておくか、さもなくばお前たちの右手が所有している女奴隷だけで我慢しておけ。」

(『コーラン』4章2〜7節)

老人

高齢者を敬うことも、イスラムが大事にしている価値観の一つです。

両親を大事にせよと、コーランにしばしば書かれています。

「親孝行しなさし。もしかれら(両親)の一方もしくは両方が、あなたの元にいながら高齢に達しても、彼らに(辛抱をきらして)舌打ちをせず、言葉を荒立てず、敬意を払って話しなさい」(17章23節)

「親にやさしく」とあっても「老人(一般に)にやさしくしろ」とはありません。
しかしイスラム教徒たちは「老人は他人の親、自分の親と「親」であることには変わりがない。だからやさしくするのだ」と言います。

こういう考えは徹底していて、地下鉄で老人が乗ってきたら、座っている若者はさっと席をゆずります。

イスラム圏には基本的に老人ホームがありません。年老いた両親をホームにあずけるという発想がそもそもないからです。

旅人

イスラムでは旅人も弱きものと考えられています。
その土地のことを知らない「弱者」とみなされるからです。

「両親にはやさしくしてやれよ。それから近い親戚や孤児や貧民にも、また縁つづきのものや血縁の遠い被保護者、(僅かな期間でも一緒に暮らした友)、道の子(旅人)、自分の右手の所有にかかるもの(奴隷たち)にも。」(4章36節)

旅人はラマダン月の断食も免除されます。

イスラムで旅といえば、代表的なのは「メッカ巡礼」。コーランが書かれた時代、旅は非常に困難でした。

車も飛行機もない。何ヶ月も、時には1年以上かけてメッカにたどりつく。

コーランにも「彼らは徒歩で、あるいはやせたラクダに乗ってやってくる」と書かれている。

ラクダやロバなどで旅ができたのは富裕層だけだった。

こういう意味で、旅人を保護する必要があったのでしょう。

女性

女性保護もイスラムの重要な柱です。イスラムでは女性は「守るべき存在」とされる

イスラムでは結婚したら夫が家計を担う義務があります。たとえ妻が収入が上でも。

「アッラーはもともと男と(女)の間には優劣をおおつけになったのだし、また(生活に必要な)金は男がだすのだから、この点で男のほうが女の上に立つべきもの』(4章34節)

「男が上」とありますが、これは肉体的な優劣のことで、男性の方が体力がある。だから「男が稼げ」となったわけです。

女性保護が社会のルールなので、女性というだけで、バスや電車でも席を譲ってもらえる。駅や映画館の切符売り場で長い行列ができていていも、女性は堂々と前に割り込める。

イスラムは女性差別というイメージがあるが、反対なのです。

どこかの国では、「女子供」と社会の役立たずのように言われたりしますが、イスラムでは「女こども」こそ、保護すべき対象なのです。

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