【決定版】イスラム女性についての日本人の誤解を解きほぐします!

「イスラム圏を取材しています」と言うと、「イスラムの女性はブルカで顔を隠している人ばかりですよね?」とよく言われます。

たしかにテレビでイスラム圏が話題になる場合、そういう女性が多く登場するのは事実です。

でも実際に現地に行くと、顔を隠している女性は、ごくわずか。
ほとんどの女性は顔を出しています。

「みんな黒づくめの格好してるんでしょ?」
これもよく言われますが、一部の女性だけ。

マスコミで報道された一部の事実が拡大解釈される
よくある事です。

イスラム圏ではその傾向が強い。

特に甚だしいのは「女性」でしょう。

女性は車を運転できない?
自転車は乗っちゃダメ?
いつも黒づくめの格好?

実際はどうなの? というところを解説します!

イスラム女性が顔を隠すのは義務?

イスラムでは、女性が顔を隠すのは義務ではありません。

イスラム女性はスカーフをかぶっていますが、本当は髪も隠すのも「義務」ではないのです

実はスカーフ着用が法律で決められているのはイランやサウジアラビアだけ。

その他の国は、かぶる・かぶらないは自由です。

それでもかぶっている人が圧倒的。自ら進んでかぶっているのです。

(参考:「女性は宝石」。イスラム女性がヒジャーブで髪や肌を隠す「本当の」理由

イスラム女性たちはこう言います。

「紙で包んであるアメとそうでないアメがあったら、人は包んである方を食べるでしょ?むき出しのアメはハエがたかっているかもしれないし、汚い手で触ったかもしれない。スカーフもそれと同じ。女性の髪が美しい高貴なものだから包むのよ」

スカーフは実は「自分の価値を高めるツール」であったりもするのです。

家の中でも黒づくめの服?

イスラム女性は外出時、チャドル やアバーヤと呼ばれる長いガウンをはおります。
その多くは黒や茶色など地味な色。

では、家の中ではどうなのでしょう?
ジーパンにタンクトップなど私たちと全く変わらない服装です。

外出時に体の線や肌、髪の毛を隠すのは、美しさを隠すため。

美しい部分は夫など大事な人にだけ見せるものだからです。

(参考:「女性として尊ばれるために。真に「女性にやさしい」イスラムから学べること。」)

女子は学校に行けない?

イスラム過激派組織「タリバン」が女子の学校教育を禁じました。

それに従わないマララ・ユスフザイさんがタリバンに銃撃され、後にノーベル平和賞を受賞。
日本でも彼女が書いた「わたしはマララ」などが出版されています。

だから「イスラム圏では学校に行けない女子が多い」と思う方も多いのでは?

パキスタンなどは貧富の差が非常に大きな国です。
中には家計を助けるため、小さい頃から働かざるをえない子供もいます。

しかしイスラムは女子教育を禁止していません

『知識の探求は、全ムスリムにそれぞれ課されている』
というハディース(預言者ムハンマドの言行録)もあります。

最近はパキスタンでもイランでもエジプトでも、大学への進学率は女子の方が上回っています。

イスラム女性

パキスタンの女子学生

女性は自由に外出できないといった事実もありません。

イスラム圏では女性一人旅などは一般的ではありませんが、日常生活では誰でも自由に外出しています。

女性は一人歩きできない?

「少女は自転車に乗って」というサウジアラビア女性が監督した映画がありました。

この紹介文に「女性の一人歩きや運転を禁じる国で」とあります。

サウジ在住の友人によれば、「女性は平気で一人歩しているし、流しのタクシーもガンガン利用している」そうです

自転車に乗る女性は、たしかにほとんどいません。

しかしこれには理由があります。
サウジの場合、完全な車社会。
町のつくりが車社会用で歩道がなく、町も非常に広い。

そして暑い。
そんな中自転車では移動するのは現実的はないからです。

名誉殺人は日常茶飯事?

未婚の女性が男性と関係を持ったりしたため、実の父親や兄に殺される名誉殺人。
実際にパキスタンでは悲しいことに起こっています。

しかしこれはインドにもあります。
名誉殺人について、「イスラムの悪しき慣習」などと言われたりしますが、これもイスラムとは無関係です。

「名誉殺人」は婚前交渉を行った女性を殺す慣習ですが、インドのヒンズー教徒の間にも見られます。

 

pakistan-woman-

出産現場の学習をしている大学生

名誉殺人はセンセーショナルだからニュースになります。

だからパキスタンなどの女性は非常に苦しい生活を強いられているように誤解されがち。
大多数の女性は毎日楽しく暮らしているのです。

日本にも女性を狙ったレイプやDVはあります。

でもほとんどの女性は職場の人間関係とか家族間のいざこざとか細々した悩みはあれ、おおむね楽しく暮らしている。
それと全く同じことなのです。

割礼はイスラム教徒だから?

割礼」は未婚女性のクリトリスを切除するもの。
割礼も名誉殺人同様、イスラムと関連して語られることが多い。

しかしこれも誤解。
割礼が行われているのは主に東北アフリカですが、エチオピアやケニアなどイスラム社会以外でも行われています。

そもそも割礼はイスラム以前の、紀元前2世紀頃からの習慣だと言われます。

また同じイスラム圏でも、イランやパキスタンなどでは割礼は行われていません。

つまりこれらは地域の慣習。イスラムとは全く関係がありません。

たまたまイスラム圏で行われているために、それががイスラムと結びつけられ、間違った情報として語られてきたというのが現実です。

性的な不品行を理由に女性を殺すという卑劣で不名誉な行為は、たとえそれがパキスタンやトルコ、ヨルダン、イスラエル占領地などのムスリム社会でおこなわれていても、イスラームとはなんの関係もない。

しかし、ムスリム以外にもこの文化的慣習はある。

(「1冊で知るムスリム」142ページ)

「硫酸事件」で苦しめられている?

パキスタンで女性が結婚を拒否した男性や夫などに硫酸をかけられる、という事件がよく報道されます。

この報道がクローズアップされ、「だからパキスタンの女性はおとしめられている、抑圧されている、不幸である」というイメージを持つ人が多いです。

しかし被害にあう女性とそうでない女性のどちらが多いかといえば、間違いなく後者。

日本にも夫やパートナーの理不尽な暴力で苦しめられている女性は大勢います。

日本やアメリカに不幸な女性がいるのと同様、パキスタンにも不幸な女性がいる、ただそれだけのことである。

イスラムでは「女性は守るべきもの」と考えられており、日本の女性よりも恵まれている面もあります。

女性は車を運転できない?

サウジアラビアでは女性が車を運転することを禁止されています。

正確には、女性に免許を交付しないのだそうです。
(2018年6月にサウジアラビアでも女性の運転が解禁されました)

これも国の法律でそう決めているだけであって、イスラムとは無関係です。

サウジ以外の湾岸諸国、イスラム世界の女性たちは、ごく普通に車を運転しています。

預言者ムハンマドの妻たちは、馬に乗っていた。女性がバイクに乗って悪いはずがない」とイスラム女性たちは口をそろえます。

ただタクシー運転手は男性に比べれば少ない。

「女性が不特定多数の男性と不必要に一緒にいるのは良くない」というイスラムの考えに起因しているでしょう。

逆に女性客を乗せるための女性タクシー運転手は、イランやエジプトにはたくさんいます。

イスラムは「男女平等」

 コーランでは男女平等をうたっています。

『男でも女でも、あなたがたは互いに同士である』(「コーラン」第3章195節)

イスラムの遺産相続は、女性が男性の半分というのはよく知られること。

これは男性が家計を負担するためです。

たとえ半分しか相続をもらえなくても、結果的には女性が得をする社会システムとなっています。

(参考: 結婚は女性に有利。生活費は夫の負担・離婚時の慰謝料も決める

ニュースは「不幸」しか報道しない

イスラムの人々の普通の日常は、めったに報道されません。ニュース性がないからです。

戦争、殺人などセンセーショナルでなければニュースにならないのです。

「他人の不幸は蜜の味」とはよく言ったもので、人にとっては、他人の不幸ほど面白い。

どこかの戦争のニュースを見て、「それに比べ、日本は平和でいいなあ」と思ってくれたら、為政者としてこれほどありがたいことはありません。

マイナスの出来事のみが報道され、クローズアップされた結果、その国の良くないイメージだけが先行してしまう。

海外の情報、とくにイスラム圏のそれは、非常にかたよっているのです。

(参考:イスラム圏は危ない?ニュースの裏に隠された「中東イスラム圏」の素顔

 

【関連記事】

コーランの中で「女性」はどう扱われている?代表的な章句をピックアップ&わかりやすく解説! 

 

★イスラム女性の生き方・服装・スカーフなどについては、こちらの本で詳しく解説しています。
ぜひ合わせてお読みください。

イスラム流幸せな生き方』
なぜイスラム教徒が世界で増え続けているのか?その魅力を中学生でもわかるように易しく書いた本。この一冊で、イスラムのイメージが変わります。

 

 

 

コメントを残す