イスラムのセックスと性生活ーそのルールは?体位に決まりはある?禁止事項は?

イスラムでは結婚外の男女の性交渉を厳しく禁じています。

そのため「性に対して厳格・禁欲的な宗教」とイメージする方も多いでしょう。

実はそうではありません。イスラムでは夫婦の性を積極的に奨励ています。

聖典『コーラン』や『ハディース(預言者ムハンマドの言行録)』には、性に関する記載が多くあります。
(ハディースの説明→第2の聖典「ハディース」と預言者ムハンマド)

その中で夜の営みにおける体位にまで言及しているのです。

聖典で性を語るー私たちにとって馴染みのない考え方ですが、性と俗を分けないのがイスラムの最大の特徴なのです。

なぜなら性を非常に大切なものと考えるからです

コーランを軸に「イスラム教徒が守るべき性生活 のルール」をご紹介します。

夫婦のセックスは善行

イスラムでは夫婦の性生活は善行とされています。

 
『夫婦が情愛を交わせば、報償としてアッラーのお恵みが与えられる。禁じられた性にうつつを抜かしていれば罰せられるように』

(『ムスリムのハディース』)

「善行」とは宗教上の良い行いのことです。信者は善行を重ねることで、死後に天国に行けると考えられています。

つまり善行である夫婦生活をすればするほど、天国に近づくのです。

関連記事→婚前交渉禁止のイスラムは「禁欲的」な宗教なのか?

結婚イコール性生活

「性欲を満たすために結婚せよ」とイスラムでは教えています。

『若者たちよ、汝らの中で妻を養える者たちは結婚するべきである。なぜなら、それによって女性に目をやることがなくなり、貞節を保てるからである

(『ブハーリーのハディース』)

結婚の目的は性欲を満たすであると、はっきり述べています。

性生活が結婚生活の中心にあるわけです。

コーランには、こんな章句があります。

『彼女らはあなたがたの衣であり、あなた方は彼女らの衣である』(『コーラン』第2章187節) 

夫と妻は、お互いの体を温め合う衣のようなものだと言っています。

抱擁し合い、温め合う存在なのです。

幸せなイスラムの「性」と「結婚」から私たちが学べること

結婚前は節制

結婚して夜の生活を楽しむために、結婚前は自制せよと(特に)男性信者に呼びかけます。

『男の信仰者たちに言っておやり。慎み深く目を下げて(女をじろじろと眺めない)、陰部は大事に守っておくよう(不倫な関係に使わぬよう)』

(コーラン24章30節)

性は大切なもの。だからこそ夫婦という安定した関係の中でこそ楽しむべきとしたのです。 

 

イスラム女性

パキスタンの花嫁。彼女の顔を包み込むのは新郎の母。

体位は自由

体位に何か決まりがあるのでしょうか?

コーランには、こう書かれています。

『妻はあなたがたの耕地である。だから意のままに耕地に赴け』(2章233節)

これは「性行為の方法や体位は自由」という意味です。

「妻の体は農地」という牧歌的な表現に、イスラムのセックス観が垣間見れます。

「体位は自由」ですが、肛門性交は禁止されています。(参照:「岩波イスラーム辞典」)

妻への思いやり

ベッドの中で夫が妻に求める際、野獣のように飛びかかるべきではないとしています。

 『あなたがたの誰でも妻のところに行くときには恥部に注意しなさい。

服を脱ぎ捨て猿のように素裸になるべきではありません

(『イブン・マージャのハディース』)

夫は自分だけが楽しむのではなく、妻の満足にも気を配らなければなりません。

 『妻とすぐ交合しようとするのではない。あなたと同様に、彼女も性的に興奮するまで待つのである。」

ある男が尋ねました:「アッラーの使徒よ、それにはどうするべきでしょうか?」

彼は答えました:「口づけしたり、体に触れたりして、性的に高揚させよ。そして彼女があなたと同様に準備の出来た状態になったら、交合に入るがよい』

(『アル・ムグニーのハディース』)

 

妻の側でも、夫から誘いを受けたら断るべきではないとしています。

『夫が妻を寝床に誘っても彼女がそれに応ぜず、彼が怒りの中にあるままその晩を過ごすとしたら、天使たちはその夜が明けるまで彼女を呪い続けるであろう』

(『ムスリムのハディース』)

ラマダン中の性生活 

ラマダン期間中は日中の飲食だけでなく、性生活も禁止されています。

『断食の夜、汝らが妻と交わることは許してやろうぞ。

彼女らは汝らの着物、汝らはまた彼女らの着物。

アッラーは汝らが無理しているのをご承知になって、思い返して、許し給うのじゃ。

だから、さあ今度は。彼女らと交わるがよい、そしてアッラーがお定めくださったままに、欲情を充たすがよい』

(2章183節)

ただしキスや抱擁は許されています。

『サウム(断食中)、(妻たちと)キスしたり接触を持ったりしました。

そして彼はあなた方の中で、最も自制心のお強いかたでした』

(『アル・ブハーリーとムスリムのハディース』)

 

詳細:<イスラム教徒のラマダン> 基本知識からラマダン中の性生活まで詳細解説

ラマダン以外に性生活が禁止される場合とは?

妻の出産直後や生理中は禁止です。

一夫多妻の性生活のルール

イスラムでは男性は4人まで妻をめとることが認められています。

ただし、複数の妻には全て平等に扱わなければなりません。夫婦生活も同様です。

 『女性のところには四日ごとに行くのが望ましい。それが公平である。

妻の数は四人だから、この程度の遅れは許される。

彼女を守るために、彼女の欲求に応じて増減することが望ましい』

4人の妻がいたら、毎日1人としなければなりません。

夫が若いうちなら可能かもしれませんが、中年になってくると厳しいのではないでしょうか?

一夫多妻の詳細→「一夫多妻」。実は「女性にやさしい」側面もある

天国では処女が待っている

イスラムでは死後天国か地獄に行くことになっています。

天国と地獄がどんな場所か、コーランに非常に明確に書かれています。

そのコーランに書かれた天国は、非常に官能的な世界です。

 『一段高い臥だいがあって(そこで天上の処女妻たちと歓をまじえる)。

我ら(アッラー)が特に新しく創っておいたもの、この女たちは(地上の女のように両親から生まれたものでなく、この目的のために特別に新しく創った女である)。

特に作った処女ばかり。愛情こまやかに、年齢も頃合い』

(『コーラン』56章34~37節)

 

天国では「美酒」が飲み放題、「天国の処女」と好きなだけ交われる

こんな具合に、官能的な悦びに満ちあふれている。

最後に

このようにイスラムでは、性生活について信者に細やかに指示しています。

人を欲望を持つ存在だと認め、欲望を容認し、どのように欲を満たすかを教えているのです。

とても人間くさく、「人に優しい宗教」なのです。

そして性を大切なものと考えるからこそ、夫婦という「安定した関係の中で」楽しむことを勧めた。

禁欲を強いているわけではないのです。

イスラム社会では誰とでもやれる自由はありませんが、だからこそ夫婦の愛と絆を深める力が働いているのです。

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