「見られる女」から「見る女」へ。チャドルやアバーヤによってイスラム女性達が手にするもの

イスラム女性が身につけるヒジャーブやチャドル。

ともすれば「抑圧」と見られがちですが、必ずしもそうではありません。

まず頭髪を隠すヒジャーブは、「夫や父親など自分を大切にしてくれる人にだけ美しさを見せることができる」など、女性に力を与えることを書きました。
「心で」男性を誘惑でき、女性に力を与える。イスラム女性のスカーフについて私たちが知らないこと。

チャドル

チャドル を身につけたイランの女性達

ではチャドル やアバーヤなど真っ黒な服装はどうなのでしょうか?
女性はいやいや着ているのでしょうか?

実は現地の女性はアバーヤやチャドル があることで、様々な恩恵を受けているのです。

肉体コンプレックスをかくす

外では真っ黒い服装でも、家の中では短パンにTシャツ。そんなイスラム女性は少なくありません。

そして「ちょっと近所まで買い物」という時、さっとアバーヤを羽織ります。これは実に便利。

さらに良いのはこの黒いガウンが肉体コンプレックスを隠してくれること。

さらに足が太い、胸が小さいーそんな悩みもチャドル を着てしまえばわからない。

外見で差別されないという「安息の地」を女性に与えてくれるのです。

向こうの女性から「鼻が低い」「スタイルが悪い」などの容貌のコンプレックスはほとんど聞きません。

日本のようにすべてを露わにしてしまう社会は、外見に自信のない女性にとって、ある意味生きづらい社会です

「見られる」女から「見る」女へ

また助かることに、下は毎日同じ服でも、チャドル を着てしまえばわかりません。

「今日は何着ようかしら」といちいち頭を悩ます必要もない。

日本の女性(男性も?)には「流行に遅れたら、みっともない」という切迫感がありますが、イスラム女性はそういうものとはほとんど無縁です。

ファッションで悩む時間を、別のもっと有意義なことに使えます。

毎日同じ服でもOK。これが貧富を隠してくれることにもなる。

黒や茶色のマントの下にボロボロの服を着ていても誰にもわかりません。こうして貧しい女性の救いになっているのも事実なのです。

日本の女性は何を着ても自由な反面、「いつでも不特定多数の男性に見られる」という不自由さがあります。

全身をすっぽりおおってしまえば、そんなわずらわしさとは無縁。他人からジロジロ見られない「権利」を保証してくれます。

さらに顔をかくしてしまえば、誰だかわからない。匿名の開放感が得られます。

女性が「見られる存在」から「見る存在」へと変わるのです

厳しい気候から身を守る

中東イスラム圏は砂漠気候。朝晩は冷え込んでも、日中は40度近くになることもあります。日差しも強烈です。

そんな場所で肌を露出していたら、ダメージは相当なもの。チャドル やアバーヤは、そんな強烈な日差しや気候から大切な肌を守ってくれます。

それに全身を覆うゆったりした服は、意外に涼しいものです。

イスラム圏で生まれ、日本で新聞の特派員をしていた男性は、こう書いています。

「頭から肩をすっぽりとおおった布は砂ぼこりから当人を守り、母親は、突然起こった砂嵐に対して、瞬間的にベールでくるむことによって、胸に抱えた子を守るし、授乳の差異は、それでムなものを人目から隠す役割も果たす。チャドルは男性への従属の象徴として生まれたものでもなく、差別のためにむりやり着せられた「押し着せ」でもなく、その合理性ゆえに、主体的に選び取られた服装だからである。」(「私のアラブ・私の日本」36ページ)

ジーパンにタンクトップ。これこそ進歩的という考えもあるかもしれませんが、イスラム女性はまちがってもそんな格好をしたいと思っていない。ここが重要なところです

男性にとって得難い存在に

オマーンの首都で、私が日本人男性と一緒に歩いていた時のこと。黒いアバーヤを着た女性とすれ違いながら、彼はうれしそうに言っていました。

隠しているのを見ると、よけい綺麗に見えますよね(笑)」

アバーアを着たオマーンの女性たち

アバーアを着たオマーンの女性たち

男というものは隠せば隠すほど見たがる生き物。

それほど美人でもなく、スタイルが良くなくても、全身を黒でおおうことで神秘的&魅力的に見えてしまうものです。

そして容易に見えないことで男性にとって「えがたい存在」となり、いっそう憧れが強まります

「女性」というだけで魅力的に見えてしまうのです。こうして、「美人でもスタイルが良くもない女性」でも結婚できてしまうのです。

結婚後に夫が「妻がこんなに太ってたとは!」と嘆いても、後の祭り。

外を見ても黒いマント姿の女性ばかりで、比べようがありません。
「他の女とて、同じかもしれないな」とあきらめるのがオチ。

チャドル やアバーヤはイスラム女性達の大いなる味方なのです。

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★イスラム女性・スカーフなどについて、こちらの本で詳しく解説しています。ぜひお読みください。

イスラム流幸せな生き方』
なぜ世界でイスラム教徒が増え続けているのか?その魅力を中学生でもわかるように易しく書いた本。この一冊でイスラムのイメージが変わります。

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