いつも夕焼けを見ていた

新宿で用事をすませ、夜の用事まで時間があったので、近くの図書館に行った。

雑誌をパラパラめくっていると、近くのイスに座っていたおばさんが、私に向かって小声で何かいいながら、必死で窓の外を指さしています。
(?)
見ると、西の空が、何ともいえない美しいあかね色に染まっている。。。。
それもただの夕焼けではない。新宿の高層ビル群が、見事なオレンジ色を背景に林立し、まさに映画の1シーンのようでした。

ブラインドが途中までおりていて、背がちっちゃいお婆さんの位置からしかその光景は見えない。
その夕焼けを一人でみるのがもったいないと、私に声をかけてくれたのでしょうか。

図書館にいる大勢の人は、その夕焼けをみることなく本や新聞に没頭していたのだ
が、それがたまらなく残念に思えました。

密かな感嘆の声をあげながら、もう一度おばあさんをみると、
何事もなかったように新聞に没頭している。
髪の毛は真っ白で、お年は70歳くらい。
素敵な感性をしているな。

その夕焼けを見た瞬間、私の頭にもう十年以上前の光景がよみがえりました。
そのころ勤めていた会社の窓からは、いつもよく夕焼けが見えた。

私は夕暮れ時になると、その夕焼けをぼんやりと眺めながら、毎日のように考えていた。
このまま会社にいつづけるのだろうか、辞めようか、辞めるならいつか・・・。

入社したのはバブルのころで、年に3回ボーナスが出た。
総合職だったので会社が与えてくれた社宅に住んでいた。

しかしその条件の良さとは裏腹に、私は毎日何か心にくすぶったものをもちながら仕事をしていた。

そんな気持ちで仕事をしているにもかかわらず、身分不相応な待遇を用意されていることにも、申しわけない気もしていた。

オフィスは夏は冷房がききすぎて、カーディガンが必要なくらいで、冬は暑くて、毎日半袖で過ごしていたこと。
そのことに対する違和感は、今でもよく思い出せる。
 
今私が、家もなくて暑さも寒さも、もろ体感する暮らしをしている遊牧民を取材しているのは、その反動なのだろうかと思ったりします。

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