2015-05-28

イラン女性を描いた映画「チャドルと生きる」

イラン映画は『友だちのうちはどこ?』といった、子どもが主人公のほのぼのとした映画が多いのですが、
「チャドルと生きる」は女性をテーマにしたハードな作品でした。

イランが抱える問題について知る格好の題材といえそうです。

リレー形式で不幸な女性たちが登場

映画は困難な境遇にある複数の女性を順に登場させつつ、イラン女性が社会で受けるであろう不幸を提示する、かなりダークな内容。

女子を産んだ女性の母親が悲嘆にくれる姿からスタートし(イランでは男子の誕生が望まれる)
次に刑務所から脱獄した3人の女性が登場。

うち一人が故郷へ帰ろうとするものの、イランでは夫の同伴か身分証明書がないとバスの切符が買えない。

さらに刑務所で妊娠して堕胎しようと脱獄した女性が。

しかし手術には夫の同意がないと手術が受けられず、悲嘆にくれる。

そして生活苦から子どもを捨てざるを得ない女性、投獄された売春婦・・・

こういう困難な状況にある女性が、イランでどのくらい普遍的なのか?

は気になるところですが、家出少女の問題などは確かにあるそうです。

自分の意思に反した相手と結婚させられようとした、進学を断念させられようとした、などが理由です。

映画制作を禁じられた後も3作品

この映画の面白さは、ジャファル・パナヒ監督の旺盛な映画製作ぶりです。

(恥ずかしながら、監督のことは「チャドル・・・」を見て初めて知りました。)

彼は反体制的なプロパガンダ活動を行ったとして2009年に逮捕され、懲役6年、映画製作20年間禁止を言い渡され、今はイラン国内の自宅で軟禁中とのこと。

にもかかわらず、2009年から今まで3つの映画を制作・発表しているのです。

「これは映画ではない」(2011年)、「閉ざされたカーテン」(2013年)、「タクシー」(2015年))

「チャドルとともに生きる」については、今日の映画鑑賞会に参加した私の知人たちは、「暗すぎて、最後まで見れない」「気分がめいる」といった感想が多かった。

私も同感でしたが、他の作品は、ぜひ見てみたいと思いました。

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